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火薬御飯

Category :  アニメ・特撮・映画
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 昔の記憶を引っ張りだすのが疲れる年齢になってきた。怪獣映画で見に行ったのを憶えているのは「ゴジラ対ガイガン」あたり。ガメラなら「ガメラ対ジャイガー」を見に行ったようなのだが…内容をよく覚えていない。テレビシリーズなら「帰ってきたウルトラマン」はわりとよく見ていたと思う。初代ウルトラマンやウルトラセブンは再放送で見た。我々より一世代前になる庵野監督の世代なら、草創期の特撮ヒーローを、学校から帰ってテレビ(白黒が大半)でリアルタイムでご覧になったことだろう。
 自主制作映画はなぜか「帰ってきたウルトラマン」だが、天皇陛下と同い年ならウルトラセブンあたりがド真ん中だろうか?と思ったり。
天皇陛下(浩宮徳仁親王)Emperor of Japan일본의 천황Император Японииإمبراطور اليابانजापान के सम्राटEmperador de JapónウルトラセブンUltraman超人力霸王울트라맨赛文·奥特曼Ultraseven
 この辺りの著名人をほぼ同世代に括ってご幼少期の砌に思いを馳せると、ふと気付くことがある。「シン・ゴジラ」監督様であっても、実は(私と同様)初代「ゴジラ」はテレビの再放送等で後から見たはずだ!ということ。この点は私も同じ。昭和40年代、テレビも映画も円谷を筆頭に怪獣モノの人気はすさまじく、ゴジラなんか立ち見をした覚えもある。「ゴジラ対〇〇」のタイトルが付くシリーズ中盤になると、ゴジラとラドン、アンギラスあたりまでは人類の味方となって侵略者やその手先の悪い怪獣と戦ってくれる善玉(イイモノ)で、子供たちは皆手を叩いて声援を送った。
 そんな子供にとって初代ゴジラのモノクロ独特の陰気さと恐怖感はショックだった。ゴジラは最初から悪役でひたすら街を破壊し続ける。自衛隊の抵抗も無意味で東京が灰塵に帰すリアル感は恐怖以外の何物でもない。
初代ゴジラ第一作1954こわい
 またクライマックスの「オキシジェン・デストロイヤー」でゴジラが溶解し、起爆した芹沢も自ら命綱を断って没するシーンは、往年の戦争映画のような重々しさで、それまで見た怪獣映画のあの爽快感とは対照的な沈痛なものだった。庵野は「シン・ゴジラ」でこうした未知の巨大生物の不気味さや先の見えない恐怖感をリバイバルしてくれたと個人的には解釈している。平成のウルトラマンや仮面ライダーは確かに今の子供達のものだ。だが派手で先進的な平成シリーズに何か欠けている「これじゃない感」を今の子供にもわかるように補足してくれていると思う。ではなぜ「帰ってきたウルトラマン」?私も個人的に大好きだった。その後、A(エース)、タロウ、レオ…と続くが、少々息切れした感は否めない。何が?
ザ☆ウルトラマンThe Ultraman「超人力霸王系列」円谷プロダクションTBSアニメーション日本サンライズ(現:サンライズ、BN Pictures)
 ウルトラマン(シリーズ)の怪獣は、対極にある仮面ライダーの怪人(改造人間)とは一線を画す強烈な個性を持っていた気がする。番組の制作過程が違うから当然だが、ウルトラ怪獣にはマニアが云う造形度の高さと共に、個々に様々な設定、発生原因やバックグランドを持っていた。予算の都合で着ぐるみ(バルタン星人やアボラスなど)の高度なリメイクをやってのけた造形士の技量も特筆すべきところだ。ウルトラセブンは宇宙人の比率が増え、怪獣も宇宙人が侵略のために生み出した人造モンスターが大半。
 一方の初代ウルトラマンの怪獣は太古から潜んでいた恐竜の派生形や突然変異的ないわゆる自然発生的な生物が多い。自然界で進化した生物に、ドリルやミサイルなどの武器はない。帰ってきたウルトラマン(ジャック)もこの傾向が残っていた。だがAになるとヤプール人といういわば「悪の組織」が産み出した合成生物(超獣)となり、タロウになると妙なモチーフを持った妖怪のような奴が増えてくる。その前後の円谷ヒーロー、ミラーマンはインベーダー、ジャンボーグAはグロース星人、流星人間ゾーンでは、ゴジラとゾーンファイターは完全に同じ立ち位置が与えられ、他の怪獣は全て悪の手先として誕生した。昭和ウルトラマンは、レオを最後に中断。少し後の80振るわず、アニメ版のザ・ウルトラマンは大滑りして、昭和シリーズは幕を降ろした。
「SSSS.GRIDMAN」電光超人グリッドマンSSSS.DYNAZENON(ダイナゼノン)
 侵略者がバックにいる怪獣は、侵略者自身が目的を説明するような場面も多いが、自然発生的な怪獣は科特隊やMATが解明していく過程が、円谷プロらしく学術的な考証も盛り込まれ知的でドラマチック。その謎解きが、テレビで見ている子供まで物語に引き込まれるところだった。
 自然発生的な怪獣はまた、生物として道理に適った形状をしており、生き生きとした造形が不気味な現実感を放っていた。だからウルトラ兄弟以上に怪獣達も人気があり、ブルマァクのソフビ(オモチャ)の売れ行きは今のポケモンや遊戯王の比ではなかった。男の子のいる家には必ず何体かころがっていた。かくいう私も何匹か持っていたが、最も印象深かったのは「ヘドラ」だ。このソフビは劇中の第二形態あたりを再現。ヘドラは成長と共に外形が崩れて不気味さが増し、その他にも飛行形態など様々に形も変え、文字通り毒を吐いて暴れ回る。人類に逃げ場はない。その強大さは、後のビオランテやレギオンのような大怪獣をも凌ぐ圧巻だった。
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 これには70年代の著しく進歩し続ける科学文明の弊害の最たるもの、公害問題と自然破壊に対する警鐘というメッセージが込められていた。公害病に苦しむ人が増える中でも、繁栄を享受し見て見ぬ振りをする大人達への反面教師だったかもしれない。と、同時に、ピープロのスペクトルマンや創通のサンダーマスクなど、円谷を追う巨大ヒーロー達に対抗するため、怪獣をより強大化させようとした一つの到達点かとも思う。
 映画本編は当時社会問題化していた公害をテーマに、私の住む静岡市に隣接する富士市が、ヘドラの上陸で見るも無残な地獄と化していくシリーズきってのカルトムービー。ハッキリ言ってコワい。昭和とは正に、繫栄を謳歌する街々を、大怪獣のような様々な弊害や社会悪が蝕んで、人類が英知を結集してそれに立ち向かう…そんな矛盾と狂気をはらんでいた。子供の目には少々グロテスクな方向に向かっていたが、円谷はあくまで、繁栄を謳歌する人類に警鐘を鳴らす怪獣という超自然現象を、現実社会の中に召喚させるリアリティーを追求していたのだと思う。ウルトラマンの初期の設定がそうであったように、ウルトラマンの主人公は怪獣達だ。

テーマ:ウルトラマン - ジャンル:サブカル

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